『ルノワール 陽だまりの裸婦』 を観て。
「ルノワール 陽だまりの裸婦」を観た。
舞台は、ルノワールの絵と同じ色彩だ、と思った。
クリーム色の草木、様々な色の小さな花、河原、湖
日本の長野や北海道などの気温が低くて、山岳地帯なところで見られそうな植生だ。
フランスやイタリアは夏、湿気が少なくて、外でも快適に過ごせるから羨ましい。
ルノワールが、「壊れかけた肉のかたまり」との批判を浴びたと言っていた。
作中で出てきたルノワールの作品は、ふくよかな女性だった。
『浴女たち(ニンフ)』は無駄にふくよかだと思う。
印象派特有の、ぼんやりとした線と色彩はそう受け止められるのか、と驚き、納得した。
ゲシュタルト崩壊ではないが、ずっと見ていたら女の身体がどろどろと溶けて、背景の自然と混じってしまう気がしてくる。
戦地より療養のため帰還したジャンが、デデと恋仲になったときのルノワールの嫉妬は見ていたくなかった。じじいの若い女性に関する嫉妬は醜い。「わたしのモデルだぞ」って、ジャンからしたら「だから何さ」だよね。
ラストシーン、ジャンが戦地へ向かうために家を出で行くとき、使用人からルノワールへとだんだん親しいひと抱擁を交わすのだが、デデについては最後単独で泣きそうな顔のアップが出るだけだ。
ジャンが戦地へ戻った理由については、戦地に残していった友人へのうしろめたさからと説明されているサイトがあったが、
戻ることをデデに告白する前に、ジャンが友達と飛行機にのるシーンがある。とても良い笑顔だった。飛行機に乗ることの楽しさを思い出して、もう乗らないことを惜しく思ったのではなかろうか。
その後、ジャンが映画監督になったことが文章で出た。デデは消えていった、忘れ去られたと紹介されていた。女優志望で画家のモデルで、歴史の表舞台には出られなかった女、なぜか儚く思った。
時代:1915年、wwⅠ期、ルノワールの晩年
登場人物:印象派を代表するフランスの画家、ピエール=オーギュスト・ルノワール、
ジャン・ルノワール(兄)、クロード・ルノワール(弟)、アンドレ(デデ)
原作:画家ルノワールのひ孫で、写真家としても活躍するジャック・ルノワールが執筆した画家ルノワールの伝記的小説「LE TABLEAUX AMOUREUX」